瀬戸本業窯

一般的に瀬戸というと磁器を思い浮かべる方が多いかもしれません。文化年間と呼ばれる1800年頃に染付の開発により古くから伝わるやきもの陶器作りから磁器製造へ多くの窯元が転換したそうです。そんな時代の流れにはのらず鎌倉時代以来伝わる伝統ある陶器作りを守り続け、現在8代目まで継承されている窯元が瀬戸本業窯です。


瀬戸本業窯は昔ながらの分業制を守り、轆轤を回す人、絵付けをする人など、一つの行程を専任の職人が行っています。一つ一つの行程にそれぞれ職人が必要になる訳ですから、1つの器を作るために熟練した数人の職人の手を介して器が作られます。現在、少人数で窯の運営を行っている所が多く、以前は分業制だった窯元も1人の職人が最初から最後まで全ての行程をするところが多くなっています。そんな昨今の状況下、瀬戸本業窯では分業制を通し器作りをされています。


瀬戸本業窯が伝統を守り、そして時代の流れや家族形態の変化に応じて使い手がより使い易くあるべきものとして仕事をしてきた器は、実用的でありながら華麗さと品格が際立つ器ばかりです。それは地元瀬戸のこだわり抜いた土や熟練した職人たちによる美しい器の形だけではなく、手間ひま欠けて自分たちで作る釉薬によるところも大きいかと思います。主に黄瀬戸と呼ばれる美しいガラス状の層を作る灰釉。一時なりを潜めたものの平安時代より更に前から存在し、後に織部へと発展する緑釉。もともと低温焼成により作られていた為、耐久度が弱かったものを瀬戸の高い技術で高温焼成に成功し美しさと耐久度どちらも兼ね備えるようになった三彩。線を施す職人の息吹さえ感じられる品格ある麦藁手が瀬戸本業窯の主軸となる釉薬で、それ以外にも染付や温かみを覚える乳白色の卯の斑(うのふ)など多種多様な技法と色があります。


また瀬戸本業窯は、瀬戸のやきものの文化を守ろうと長年活動されています。瀬戸へ赴く人は恐らく誰でも皆行かれたことがあるかと思いますが、昔ながらの瀬戸の焼き物が重ねられ長い壁面となっている坂道は、瀬戸のやきものの資料館へと続きます。これらは瀬戸本業窯の現窯主7代目水野半次郎氏の働きにより、行政も加わることになり未来へ存続・継承されることになったそうです。本業窯とは鎌倉時代以来瀬戸に伝わる陶器の手仕事を行う窯のことを本業窯と言います。その本業窯という看板をしっかりと背負い、瀬戸のやきものの伝統をしっかりと継承していこうとされている確固たる姿勢は8代目水野半次郎を後継する水野雄介氏にも受け継がれています。この姿勢は瀬戸本業窯が存続する限り伝えられるものなのだろうと、窯へお邪魔しお話をお伺いし、そこで作られたものを拝見すると感じます。是非、瀬戸本業窯の仕事を手に取ってご覧下さい。




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