カンナカガラス工房  村松学

カンナカガラス工房
村松学
広島県福山市

略歴
1967年 島根県松江市生まれ
1990年 カガミクリスタル(株)入社 吹きガラスを始める
1996年 舩木倭帆氏に師事
2005年 広島県福山市にて独立・築炉
2008年 国展初出品初入選
2009年 国展工芸部新人賞受賞
2012年 国展準会員

村松さんは、2013年の冬に亡くなられた故 舩木倭帆氏の元で9年修行されました。亡くなる数ヶ月前に国展工芸・西の会の実行委員長として寄せた言葉がありました。「工芸美の本来は、日々の暮らしの中にあって、心の安らぎと悦びをもたらす普遍的な存在である」「芸は人の修練によってのみ達せられ、修練に支えられ、あくまで謙虚に誠意と喜びを以て作ったものが使う人の心に響き、使う人の喜びが重なり合って新たな喜びが生まれる。そこに真の豊かな暮らしが生まれる」と。

村松さんが作るガラスには、その教え全てが形となって表現されていると感じます。


真摯に仕事に向き合い妥協を許さない。そんな片鱗が工房に置かれた机の上にも見受けられました。まだご自身で納得いかない試作段階のガラスが並んでいました。醤油差しやコップなどなど。使い勝手がいいだけなら機械で作られた大量生産のものでいいのです。「器の障害は作者によって生まれ、使い手によってあと半分は育っていく」と故舩木氏がおっしゃていたように、使う人がそのガラスと心の会話ができる物を作り上げなくてはいけません。疲労困憊している時、嫌な事があった時、悲しい事があった時。嬉しい事があった時。そんな使う人の瞬間瞬間に寄り添い悦びを与えてくれるガラスを作ることに真摯に向き合ってるのです。


仕事に真剣勝負な村松さんですが趣味はバイク。工房には休憩時に眺めるだろうバイクの写真などがボードに貼られています。そして工房の隅には、きれいに磨き上げられた美しいバイクが並んでいます。眺めるだけではなく、仕事が一段落すると数泊のバイク旅にも出られるそうです。日々の暮らしの実店舗「工芸喜頓」にお立ち寄り頂いた際には、バイク屋さんや自転車屋さんが立ち並ぶ世田谷通りを楽しそうに眺めてらっしゃいました。人それぞれが持つ好奇心の強さというのは生まれ持ったものか、培われた物かわかりませんが、村松さんの目の輝きを見ていると、村松さんが今後作り続けていくだろうガラスが更に楽しみになりました。


村松さんが作るガラスはシャープでいてモダン過ぎず、素朴さというよりシンプルな造形美やラインに対するこだわりが感じられます。ピッチャーの形は作者によって非常に異なるのですが、村松さんが作るピッチャーはどちらかというと温かみのある丸みではなく、鍛え上げられた動物のようなすっとした形です。

村松さんのガラスには底に全てカンナカガラスのkanとサインが入っています。


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