松崎修  

松崎修
栃木県芳賀郡

略歴
1979年 木漆工芸家 松崎融の長男として
神奈川県藤沢市で生まれる
1998年 栃木県立真岡高等学校卒業
2002年 東海大学文学部卒業
2005年 父 松崎融氏に師事
2010年 第84回国展入選 以降毎年入選
2012年 第86回国展 工芸部奨励賞受賞
2014年 第88回国展 新人賞受賞

益子の窯元が立ち並ぶ界隈から車で少しいった、のどかでいながらもどこか物作りの匂いがするエリアに松崎さん親子のご自宅と工房があります。客人を出迎える大きな門とその遠い先に見えるもともと農家だったという築100年以上の母屋を目にすると、まるでタイムスリップしたかのような錯覚にとらわれます。


門を抜けると木地を削り彫出す工房、漆がけをする蔵、そして作品を保管する蔵などが敷地内に点在しています。木漆は、一般的に木から形に落とし込む「木地師」、漆を塗る「塗り師」とそれぞれ専門の職人が行う分業制がとられていますが、松崎さんは一部をのぞいて全ての工程を一人で行っています。栗の木や栃の木など製品に合った木材を、所狭しとしかしきちんと並んだ多くの鑿(ノミ)や鉋(かんな)などの刃物で刳り抜き、仮の状態でそれらを寝かせます。木は切り倒した後も長年にわたり動きが出る素材のため、木材として一定期間雨風にさらした後に製品として形作りをしますが、鑿や鉋を入れるとまた動くのが特徴です。仮の状態で寝かした製品は手を入れた年月が書かれ、その状態を見て最後の製品となるまで刃を入れていきます。漆を塗るまでにも何年といった年月がかけられ、最後の最後に幾度となく塗り重ねる塗りの工程があります。


木漆工芸家として独自の作品と地位を確立した松崎融氏を父に持つ松崎修さん。お父様は、益子の陶芸家であり人間国宝の島岡達三氏より指導を受け工芸の道に入られたといいます。益子という環境からか、ご自宅には益子の陶工の方々の焼き物があちらこちらに飾られています。作られるものは、木の特徴を活かしながらも陶器つまり土と表情は違っても、同じ力強さと存在感があるように感じます。


道具を用いて一つ一つの作品を作り上げる松崎さんですが、できたものを拝見すると作品と生活道具のちょうど中間のような印象を受けます。松崎さんご本人も「気軽に使ってもらえたらと思います。手で取る時は片手ではなく両手で取るくらいの感じでしょうか」とおっしゃっていました。きれいに拭いて箱に入れ棚にしまうというより、ほどよく丁寧に扱いながらも日々の生活で使いたいと思う漆器なのです。

扱いは、使ったら柔らかいスポンジや食器洗い用に作られたアクリル毛糸で編みこんだもので洗った後しっかり乾かしてください。油汚れがひどくなければ洗剤を使う必要もありませんし、手で洗っていただくだけでも十分です。陶器などとすれるとその傷から痛みがでるので、陶器とぶつからないように乾す。または手ぬぐいなど乾いた布でしっかりと拭いてエアコンなどが直せたたらないところに置く。これだけで何か特別なことをする必要はありません。

漆はもともと木の器をより丈夫に長期にわたって使えるようにと施されたものです。実際に使ってみると、決して扱いの難しい高級品なのではなく、丈夫で長く使うことができる生活を豊かにしてくれる道具だということがお分かりいただけるかと思います。土と木の相互関係のように陶器との相性も素晴らしく、当店で扱う陶器との組み合わせがとても自然で美しいのです。木地師も塗師も高齢化により廃業される方が後を絶ちません。しかし、是非この先も日々の生活において使っていただきたいと思う道具の一つが漆器です。漆器の魅力を実感していただけたら幸いです。






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