まさひろ工房

まさひろ工房から見える穏やかな景色。沖縄で金武(きん)というと、米兵が多く集まるクラブや飲み屋がある夜の町または有名なタコス屋さんがある町という声を多く耳にします。そんな賑やかな町の印象なので、焼き物作りをしている人なんているの?と思われている沖縄の方々も多いかもしれません。そんな喧騒から少し離れたのどかな場所に、まさひろさんの工房はあります。工房からは遠くに海が見え観光客が立ち寄る場所でもないので、のんびりとまさに沖縄ペース、いや、まさひろさんペースで仕事をすることができます。


まさひろ工房では、土作りからまさひろさんが一人で行っています。工房はもちろん工房内にある住居スペースも、もちろんまさひろさんによるもの。そんなペースですから、窯入れは年に1回現状できて2回がやっとのペースです。沖縄に古くから伝わる伝統的な器を形だけではなく、それらを作るテンションまでもその時代に合わせているかのような素朴で真面目で純粋でそして繊細なまさひろさん。そして彼は何と言っても南国の人。そんなに急げ急げと言われて急げるものでもありません。沖縄の人をもってしてもまさひろさんは沖縄らしい人と言われるほどですから。しかし、仲村まさひろさんという方に会うと誰でもその純粋さの虜になるのではないでしょうか。純粋で繊細でもうしっかりとした大人の年齢ですが、子供のように輝く目を持つ人。そして彼から土、風、太陽と沖縄の自然が持つエネルギーを体全身から感じることができます。そんな彼の周りには、彼が気になって助けの手を差し伸べる人が多くいます。この厨子甕の裏のベンチスペースは、そんな大人たちが集う場所です。


仲村まさひろさんは、読谷村にある北窯 松田共司さんの初期のお弟子さんです。お年もそれほど差がありませんし、お互いへの溢れる愛情からつい幼馴染のようにも見えますが、独立し何十年と経っていても親方と弟子という関係なのはすぐにわかるほど。沖縄の焼き物について厳しくきっちり教えられたそうです。そんな仲村さんが作る焼き物は、まさに沖縄の焼き物。金城次郎さんを尊敬してやまないということからもわかるかもしれませんが、マカイ(お茶碗)一つ取っても高台の作りから反り、そして厚みと土感。どれをとっても沖縄を感じる素晴らしさに、力強さと素直さ、そして器に向き合う強い意思と共存する謙虚な心が感じ取れます。


楊枝入れ。まさひろさんの手を抜かない仕事の姿勢が、この小さな楊枝入れからも見て取れます。まさひろさんの仕事は、同じ焼き物の仕事をしている人たちからも一目置かれています。物は人が作りますが人は時代が作ると言われています。今のこの時代に、このテンションで昔ながらの物作りができるのはどういう事なのかと皆口にします。同じ焼き物を作る同業者たちが、彼のことを知らなくても、こんな器を今作っている人がいることが嬉しくてパワーをもらったという方、いつか機会があったらぜひ会いたいという方。多くの同業者の声を耳にしますが、当のまさひろさんは至って謙虚でマイペース。


窯出しの様子。一つ一つ焼き上がりをチェックするまさひろさん。
一年の仕事の成果ですから、この時ばかりは私たちもなかなか声をかける事ができません。この窯は焼き上がりが比較的よくホッと胸をなでおろした様子。どれだけ真摯に物作りに取り組んでも、最後の関門である火だけは完全にコントロールするのは難しいと皆口にします。この火という人間が手が加えられる範疇を超えた最後の関門があるから面白いのでしょうか。




この素晴らしいやちむんが、また次の世代にも受け継がれていって欲しいと心から願います。一人で何から何まで手がける仕事はそう容易ではないでしょう。でも、より多くの焼き物作りの方にまさひろさんの器を見て手にとっていただきたいと思いますし、また実際にみなさまの生活の美しく生活をほんの少し楽しく豊かにしてくれる道具として心からお勧めするやちむんです。


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