泉山昭次
泉山さんの略歴が示されているように、塗り師として漆を極めるために日々を費やされてきた泉山さん。故郷盛岡を大切にし、その盛岡の光原社で漆の人生をスタートされました。とにもかくにも実直な泉山さん。古きよき漆器や師匠の椀を見ては学ぶところがないかと常に勉強されています。メモを取り、自分の作品に生かす。その連続の仕事です。
こちらは泉山さんのご自宅の玄関先。
泉山さんは、庭の木花や野鳥、ご自宅からそびえ立つ姿が見える岩手山などをご自身で写真に収め、その裏にお手紙を書かれます。お庭の蝋梅や椿が咲く季節には枝を切って皆さんにお配りし、ご挨拶と共に季節の到来を皆さんにお伝えします。泉山さんがお椀の裏に描いているのは、その故郷の岩手山だそうです。お名前ではなく、故郷の景色をご自身のサインとして描かれるのが泉山さんのお人柄を表しています。
ふと思ったこと感じたことをメモし、季節の花々の写真と共に作業場の壁に貼られている泉山さん。ご本人が工業的なラインではなく心が穏やかになるライン作りを好まれるので、器の形は素朴でどこか懐かしい形です。木地は暑すぎず薄すぎず。その上に木地固めから最後の上塗りまで多くの工程を踏み仕上げていきます。近寄りがたいほどの優雅さを放ち、これぞという時に登場するような漆器というより、ハレの日の雰囲気もありながら、どこか素朴でいながら一定の距離があり、日常使いはもちろんのこと、大椀も疲れた時にまた週末エネルギーを回復しようと心と体が求めている時に手にしようと思うそんな距離感のところにある漆器だと思います。
泉山さんのプロフィールには、こんな言葉が書かれています。
「温かくて優しい潤いのある漆器と 共に暮らして喜ばれる 心地よいものが生まれますよう。永く親しむために。漆器も人間と同じ生きものです。愛され活かして楽しまれますよう」
どうぞ永く永く愛でていただければと思います。
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