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出西窯
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出雲大社から東へ三里(12kmほど)。松江市と出雲市にまたがる宍道湖に流れる斐伊川の辺に1947年の秋、幼なじみの5人の青年が立ち上げた陶窯「出西窯」。ウィリアム・モリスに影響を受け、河井寛次郎や濱田庄司、バーナード・リーチ、柳宗悦や柳宗理と出会い、民藝の素朴で健康な美しい器を心がけ器を作り続けています。
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のぼり窯6室、灯油窯2基を構える出西窯は、出西氷室、加茂三代、出雲市大津西谷といった地元の土を使い器を作っています。作業場は道具や粘土に関わらず陶工さんが使用する生活品までもが整然とあるべき場所に置かれ、そこはまるで秩序が保たれた小さな企業の寄宿舎かのようです。
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出西窯は民藝の窯元の中では珍しい大所帯の窯元です。熟練の陶工さんと多くの若い陶工さんが黙々とともに作業をされています。後継者で頭を抱える他の多くの窯元とは全く違う光景がそこにはあり、朝から日が落ちるまで作業が続けられています。
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2004年からは柳宗理ディレクション出西窯シリーズの製作も始まり、本来モダンな器が多い出西窯にさらなる魅力を加えています。自然に近い器を目指し粘土の前の段階の土を感じる器を作る窯元が民藝にはみられる中、出西窯の器は土というより粘土の印象が強い飾らない器のように思います。和食器にも関わらず洋食器のような佇まいを持ち合わせていたり、出西ブルーと言われる鮮やかな呉須の青はまるで欧米のもののような印象さえ受けます。和食器にはあまり見られない轆轤ではなく型ものの工業デザインを彷彿とさせる美しい平皿が揃うのも出西窯ならではかもしれません。
1998年には展示販売場「無自性館」が竣工し、多くの方が訪れています。のんびりとした土地にたつ出西窯。お近くの際は立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
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