西持田窯
最初に津田さんのお名前を聞いたのは、惣堂窯の掛谷康樹さんからでした。
学校で教えていた掛谷さんの生徒さんが津田さんで、米司さんのところで修行しているからとのこと。買い付けでお邪魔した際にご挨拶し、工房で淡々と仕事をされている姿を拝見していました。気づけば、米司工房の工房長になり、湯呑みの形一つとっても米司工房らしい健やかな形だなぁと想い拝見していました。そして、10年の修行期間を経て独立。奥様のご出身である島根県松江市西持田に戻られ、ここで薪窯を築窯され「西持田窯」を始められました。
奥様は、沖縄の宙吹ガラス工房虹の稲嶺市に弟子入りし、手吹きガラスを学ばれました。ご夫婦で工藝の道を進まれますが、ご主人の独立そして築窯に伴い、現在はお二人で西持田窯を切り盛りされています。
沖縄では登り窯で焼成し土も全く異なる中で、形そして釉薬のこだわりはこの窯から出る器を見れば分かっていただけると思います。代々受け継がれてきた窯元ではなく、初代として新たに築窯した津田さんは、修行した沖縄の焼き物も愛してやまない古い焼き物も取りいれることができます。しかし自由にできるからこその自分への規制というのがみて取れ、この西持田窯からは恥ずかしいものは出したくないというプライドそして品格が器から感じられます。皿一枚にしても高台からふちまでのロクロによる形成が美しく、日々しっかりと沖縄で修行されてきたことが窺えます。
釉薬はこの地方ならではの落ち着いた民藝らしい品格のある色合いです。森山窯の焼き物のような、自然に近い印象を受けます。やはり自然の恵みである食材は、自然を感じる器がとりわけ切る・焼く・蒸すなどシンプルな調理法だとことさらしっくりきます。ソースやタレで飾らなくても、そのままでしっくりくると感じます。
この還元焼成された呉須釉も美しいですね。
釉薬そして造形どれをとってもしっかりとしている西持田窯の器は、年齢的にもさらに変化・進化していくと思いますので、どうぞ末長くご覧頂ければと思います。
ニュースレター
ニュースレターを購読:
略歴