吹きガラス工房 彩砂
東京都新宿区ご出身の小野田さんですが、工房でお会いするとしっかりと沖縄の人になっているという印象でした。すでに東京で過ごした期間より、沖縄での生活の方が長くなっているというから納得です。修行された工房以外の沖縄の職人さんからも可愛がられているというお話を聞くと、この沖縄での居心地の良さそうな醸し出す雰囲気も頷けます。
小野田さんは宙吹きガラスを11年、人間国宝であり宙吹きガラス工房 虹の稲嶺盛吉氏に師事し、2009年に同じ読谷村で師匠の稲嶺氏に命名された「吹きガラス工房 彩砂(るり)」を設立されました。
沖縄県内で出る「残波」など泡盛の瓶を再生し、それをお一人で宙吹きで一つ一つの作品へと形作っていらっしゃいます。1枚目の写真の通り、工房の周りにはそれらの瓶が所狭しと並んでいます。再生ガラスならではの泡の入り方や、ぽってりとした作りはどこか愛嬌がありながらも、都会の生活の中で使っても違和感のない空気感があります。色ガラスは、どうしてもリゾートやお土産の印象が強いかもしれませんが、小野田さんの色ガラスにはそのような雰囲気が全く感じられず、生活の中、現代のインテリアの中においてもしっくりと調和し、存在理由があるようにすら感じます。
写真の通り化粧っ気も気取りもない小野田さん。おそらく実は人見知りする性格なのかとお察ししますが、陽気でお話をしているとお喋りが止まりません。読谷の外人住宅で長年住居兼工房として生活され、庭には食べたびわの種を植えたら気づいたら実がたわわに実るのほど大きくなったそうです。沖縄の土地と人と空気を吸収し、沖縄にしっかりと根を張りながらも、作られるガラスにその大らかさと都会の空気を少し纏っているのが今の時代にマッチしているようにも感じます。小野田さんのご自宅には、ガラスはもちろんたくさんの陶器も並びます。気になったものを一つ一つ集めているうちに、一人暮らしなのにこんなにたくさん器が集まってしまってと語る小野田さん。工芸の道を学生時代から歩まれ、ガラスに限らず人から生み出される物に惹かれ、この道にたどり着いたのかなと感じます。また、彼女が作るガラスは、小さ過ぎずボリュームがしっかりとあり生命力と楽しさを感じます。そして、彼女からは用途に即さない気取ったものは生み出されない気がします。是非、目で見て楽しみ手にとって生活の中でお楽しみ頂ければと思います。
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