森山ロクロ工作所  

森山ロクロ工作所
島根県出雲市

略歴
1960年創業の森山ロクロ工作所
出雲の木工と言えば森山ロクロ工作所。
出西窯や森山窯など島根の民藝の窯元で使われています。
現在は、二代目 森山登氏が奥様とともに茶托やお椀、皿立てや盆など幅広い木工品を木地づくりから拭き漆までの工程を行っています。

初めて森山ロクロ工作所の木工を目にしたのは、同じ島根県の温泉津にある森山窯でした。森山窯にお邪魔するとお茶や果物。時期によってはお手製のシャーベットやお団子を頂いたりと、毎度とても丁寧に奥様がおもてなし下さいます。そんなおもてなしの中で目にしたのが、森山窯の湯呑に敷かれたとてもいい具合にどっしりとした茶托でした。お伺いすると昔に購入された出雲の森山ロクロ工作所のものとか。お店で扱う湯呑や急須も増え、コースターとはまた違った、素朴で焼き物に合う茶托や木工品をと探していたので、早速森山ロクロ工作所に連絡をしました。森山窯の器は、素朴で主張しすぎずモノ選びの私たちの指針の一つになっているので、この窯のものが合う木工であれば間違いないだろうと思いました。


工房へお邪魔すると、二代目の森山登さんと奥様が出迎えてくださいました。残念ながら森山窯で拝見した茶托は現在は作られていないとの事。お話を伺いながら、城下町文化の残るこの土地特有のまるで台湾のお茶文化のように、ぐい呑みほどの小ぶりの湯呑でお茶を頂き一口頂いたらまた注ぐの繰り返しの風習でおもてなし頂きました。茶托もその土地の風習に合わせて初めて目にするほど小ぶりなものから、大小ある程度の湯呑にも合うサイズや形状までの品揃え。また、茶托だけではなく木材を活かしたお盆やトレー類などおおらかな木工品がとても充実ぶり。木は全てヒノキ。島根県深山に多い老木を使用されているそうです。ケヤキは堅牢で美しい木目であることから古くから日本で使われてきた木材です。ケヤキは使えば使うほど、磨けば磨くほど美しいツヤが出てきます。


そのケヤキを原木から乾燥させ、木の目に応じて適した製品に合わせて木地を作り、最後は天然生漆を摺り漆仕上げにして製品にします。最近では木地屋さんや漆の塗り師がご高齢で引退されたりと、分業制で行ってきた木工はなかなか難しいそうです。森山ロクロ工作所も、もともとは木工所として木地づくりを専門としてきましたが、塗り師が続々と廃業する現実を前に現在は拭き漆までされています。そのため、朱塗や黒塗の製品はありませんが、現在では木地づくりの丁寧さと木目を活かした拭き漆の木工製品を多く作られています。形や厚み、削りなど主張しすぎる事なく、器や盆としてデザイン性が前面に押し出される事なく、脇役でながらも心地よい大らかさを与えるものづくりをされています。


ケヤキ以外に、黒柿も多く用いられます。黒柿は渋柿、甘柿どちらからも出るようですが柿の木が数百年の樹齢を重ね老木になると、墨で描いたような黒い模様が入ります。この黒い模様は全ての柿の老木に現れる訳ではないというから驚きです。また土壌が火山灰を含み冬は雪が積もる土地が黒柿ができるのに適した場所と言われ、日本では東北、信州そして山陰で比較的黒柿が手に入ると言われています。この稀少材の黒柿を用いて、箸や菓子切り、コースターや箸置きなどが作られていますが、黒柿は原木から製品になるまでの乾燥中に割れ、歪みがでやすい木材なので、ケヤキと比べて何倍も神経を使うと言います。黒柿は同じ木からとっても、全く柄の出方が異なるため画一的に作る事ができません。しかし、どの出方をしてもこの黒柿が作り出す模様は力強さと品格そして現代の生活にも合うモダンさを持ち合わせています。乾いた布で拭き末長くお楽しみいただければと思います。




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