TISTOU(チト)
おっとりとした穏やかな佇まいの六十苅(ろくじゅうがり)緑さん。
岩手県八幡平市にある安比塗漆器工房にお邪魔した際に六十苅さんの塗箸と出会いました。デザイン性のある八角という形にどこか品格を感じる塗箸ですが、箸先は細すぎずどこかゆったりとしていて、瀬戸本業窯の黄瀬戸や染付皿など、また飴釉や灰釉、透明釉などの民藝のシンプルな器とも相性がいいと感じました。
六十苅さんの漆との出会いは、ご結婚されて岩手に住んでらした時だそうです。岩手といえば漆そして漆器の産地としてもよく知られています。ある時、溜塗のお椀に出逢いそのシンプルな中にある匂い立つような美しさにとても心惹かれ、漆を知りたいという面が強くなり安比塗漆器工房の安代漆工技術研究センターの門戸を叩かれたそうです。木地制作から漆工までの全ての工程を塗師として独り立ちできるように学ぶことができる研究センター。当店でも取り扱いがある冨士原文隆氏の指導のもと、漆工を学ばれました。
美大を卒業された方が比較的多く研修センターの門戸を叩くと言いますが、六十苅さんは畑違いで最初は多々失敗をし先生である冨士原氏は呆れられたんじゃないかと笑いながら話される六十苅さん。冨士原文隆氏とおっとりとした六十苅さんの師弟関係が目に浮かぶようです。無事研修センターをご卒業された現在は愛知県に戻られ、ご主人とお二人の娘さんと暮らしながら塗師として仕事をされています。
当店の東京・世田谷にある実店舗「工芸喜頓」にお立ち寄り頂いた際には、サッカー好きのご主人と娘さんたちはサッカーの試合観戦へスタジアムに。六十苅さんは当店に足をお運び下さいました。ご家族との生活の中に塗師としての仕事があるため、たくさんの注文をすぐに納品というわけにはいきません。そのため、次の入荷はまたお時間をいただくかもしれませんが、シンプルな汁椀や飯碗との組み合わせに六十苅さんのお箸は美しいアクセントとなることでしょう。どうぞご覧ください。
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