佐藤隘子工房
昭和28年設立の倉敷手染手織研究所を2期生として卒業後、70年以上に渡り倉敷市内で手織りをしている佐藤隘子(さとういくこ)さん。
現在は佐藤隘子工房として活動されているため、ご本人が織られているものと姪の武内総野(その)さんが織られているノッティングがあります。柄により作り分けられ、佐藤さんが織られるノッティングは素朴な印象で、柄のバランスを優先されるためサイズが揃っていません。90代になられてからはサイズや造形、織りがよりざっくりとしてきました。ノッティングが暮らしにあると楽しくなる、そんな思いをこめて制作されています。
武内総野さんは叔母の佐藤隘子さんに2017年より師事。武内さんが織られているノッティングは武内さん考案の柄のため、佐藤さんとはまた図案も色合いも異なります。時にはアフリカの雰囲気が、時には北欧の温かみの雰囲気も感じられ、温かみのある楽しい図案となっています。佐藤さんのノッティングの流れを汲み、毛足は他の作家さんと比較すると長めで温かみがあり、丁寧な作りとなっています。また画像でもご確認いただけると思いますが、サイズもおよそ統一されています。
倉敷本染手織研究所は、初代倉敷民藝館館長の外村吉之介氏により倉敷民藝館付属工藝研究所として設立されました。ノッティングだけでなく、テーブルセンターやコースター、ネクタイや袋物など、現在でも丁寧な仕事がこの手織研究所そしてその卒業生によって作られ、現在でも倉敷の美観地区にその研究所があり活動を続けられています。
佐藤さん曰く倉敷本染手織研究所創設者の外村氏の教えの一つに、無駄にしないという教えがあったそうです。そのため、佐藤さんを含め研究所初期の生徒さんはノッティングの毛足をあまり短く刈り込みすぎない、比較的毛足が長い作りになっています。現在目にするノッティングに比べ、佐藤隘子工房のノッティングの毛足が長いのはその理由によります。
倉敷を訪れると、飲食店で日常のものとして数十年に渡り使われているノッティングを目にします。是非皆様のご自宅で生活の一部としてご愛用頂けると嬉しいです。
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略歴
1932年生まれ
倉敷本染手織研究所卒業
19歳から手織りでテーブルマットやコースター、ノッティングなどを手がける。